私が太田さんを推した理由

本当は推しに対しての想いが一筋縄ではいかない、面倒な人間なんです。


1番最初に知ったのは、その時に応援していた声優さんと一緒に写っていた写真でした。「カッコいいなー顔小さいなー」って印象を持ったぐらいだったと思います。


そして何回か舞台に立つ姿を観てカッコいいとは思っていましたが、印象がガラッと変わったのはメサイア鋼でした。唯一の先輩サクラとして出演した五条颯真。後輩の裏切りに苦しむ姿やアクションをする姿がとても美しくて、先輩として発せられる言葉の重みに泣きました。今思うと、初めから推しの苦しみ果てに生み出される演技に惹かれていたのかもしれません。


その後、何を思って予約したかまったく記憶がないんですがトレカを購入して発売記念イベントに参加しました。
チェキ撮影自体初めてで、ご本人に「こういうの初めてなんですけど…」と言ったら「ホント?凄く嬉しそうな顔してる。こっちも嬉しくなる。ありがとう~。」って目元をクシャッとさせて笑いながら話してくれました。
今思うと緊張より先にニコニコするって怖すぎる…。
でもこんな初めてのファンにも、とても優しくて温かい人なんだなと思いました。
「スレイジー、よかったら見に来てね」とフライヤーを渡してくれていた瞳はとても優しかったです。


そしてSLAZYのBloomに激しく殴打され、衝動のままにチケットをとって行ったビビコンでは、自分が人生を左右されるぐらい苦しんでいた時期に舞台に立つ姿に何よりも勇気づけられました。
吉岡さんの働きながら踠いて歩く姿が、自分がこうなりたかった社会人のあるべき姿のような気がして、ちょうど前職で精神を病んでいた自分にはクるものがありました。
実は1番応援していた人の、とても大きいチケが取りづらいイベントがあったのですが譲渡し、譲っていただいたチケットでビビコンの千秋楽に行きました。
どうしてそうしたのかは今でもあんまり覚えていないですが、結果的にそれで良かったんだと何の後悔もしていません。


それから、出演する舞台やイベントになるべく行くようになり、今に至ります。
彼は確かにどんどんと自分の1番応援している俳優さんであり、いわゆる推しになりました。
舞台に立つ姿が自分の光となってくれたその時から、応援すること・気持ちが自分を生かすための自己満足だとしても、応援することで演じることを続けてほしいんです。

彼の発する闇に勝手に親近感を感じているのかもしれません。
弱いところも全部さらけ出して、正直に演じていることが苦しいという。でも、その苦しみが生きる意味だと言って舞台に立ち演じ続ける姿。完璧だと思ったら舞台を降りるかもしれない儚さ。でもいつだって完璧なんてまったく思わない姿勢。いつだって苦しんで苦しんで、苦しみ抜く。でもそんな苦しみの闇を光に返し、キラキラと輝く顔は本当に美しい芸術品のようだなと思います。

とても弱くて、とても強い人。真面目すぎる人。悩み迷うけれども自分の軸を見失わない人。現実も非現実も味あわせてくれる人。
この世界は不安定で、永遠に演じ続けてくれる保障なんて何処にもないと思います。
完璧ではない、永遠ではない、だからこそ一瞬に美しさが凝縮される。一度たりとも同じものは存在しないのだから。

役を演じているときは指の先まで意識を向け、瞳に強い意志が宿るのが好きです。
カテコでは本人に戻り、目元をクシャッとさせて笑うのが大好きです。
作る景色すべてがとても愛おしくて、大切な時間なんだと観るたびに感じています。
その人自身に惚れるところがなければ、毎回安くはない対価を払って観ていくことは自分のモチベーションの維持が難しいと思います。
対価を払っても、絶対に観たい存在。
好きという言葉は愛や恋に変わりがちですが、それともまた違う。存在を尊いものと思いながら、舞台に立つ姿に惚れる。またさらに好きになる。上手く言葉にできませんが、本当に好きだなーと観る度にきっと惚れ直しているんです。
誰かの奏でる曲に合わせて踊るのならば、その曲を奏でているのは推しであってほしい。


イベントで「いつも素敵な景色をありがとうございます」って伝えると「ありがとう」ではなく「いえいえ、こちらこそ」という言葉を貰ったとき、フワフワと嬉しくなりました。ファンがいる景色を本人も大切に思ってくれているのかなと思いました。

自分が色んな思いを抱えて応援をして、応援することに依存してたら世話ないなと思ってウダウダと悩みます。
でもやっぱり大好きなので、とても大切だから、自分なりに愛でながら応援していきたいと思います。
私の推しは美しくて、素敵な言葉を紡いで、素晴らしい景色を届けてくれる俳優さんです。
これからもよろしくお願いしますね。