介護日記①

そもそも応援している俳優さんのこと以外はあまり文章にしないけれど、4月から怒涛の日々や感情をふと私はこれを言語化できるのか、いう気持ちになった。

はじまりは祖母が救急車で病院に運ばれ、3日程度の検査入院をしたことだった。元々持病(難病と呼ばれるものだが何種類かあり、そこまで重篤と言われる部類ではなかった)で酸素の吸入チューブをつけている祖母。本来は(というか多分今も)常時着用の必要はないが、本人が息が苦しい苦しいと入院後からずっと言い出した。何かあるとすぐに救急車を呼びたがる。最初は「何かあったら…」と対応していた家族も3回目ともなると「本当に苦しいのか?」と疑問を抱く。病院で検査しても肺の硬化は進行していないし、心臓も小さくはなっていない。悪性になっているわけでもない。それでも何かと理由をつけて救急車を呼びたがる。息が苦しい、膀胱が痛い、熱がある。そのうち家族も、持病ではなく他の病なのではないか?と思うようになった。

朝晩お構いなしに仕事がある家族を呼び出した。
決定的だったのが、朝4時頃に膀胱がいつもとは違う痛みだ病院へ行くと言い出した日だった。その日もちろん私は仕事があったが、ここで認知症の祖父が同行しても何か役に立つわけではないと思い「じゃあ一緒に行ってあげるよ」と言った。呼吸器内科への受診は難病の方でとはわかるが、泌尿器科に関しては誰も何の症状で受診しているのかを誰も知らない。ただ異常な食事制限(酸っぱいもの・大豆は食べられないなど)と言う。
泌尿器科の看護師さんは優しく、祖母抜きで先生と話がしたいと受付時に伝えたところ上手く対応してくれた。「お恥ずかしい話ですが、家族の誰も何の症状で受診しているかわからなくて。何の病気なんでしょうか?」と切り出すと、「どこも悪くないんですよ」と予想通りの回答をされた。
元々排尿時の痛みで通院しており、確かに初診時はその所見があったため薬で対応していたという。薬でそれは完治しているが、何かと理由をつけて本人が受診したがって検査もしたがる。ざっくり要約するとそんな感じだった。
この時点で精神的な病だと確信があったので「そういう理由で同じ病院内にある精神科に紹介状を書いてもらえないか」と聞いたが、紹介状はちょっとと言われた。通院している病院の精神科はかなり古めかしくて、聞く前からここへの受診は嫌がるかもしれないと思ったのであっさりと引き下がった。
引き下がったが、外で聞いていた受付の看護師さんが「おばあさんの症状は恐らく精神的なものだから、早めに受診した方が良い」と別部署にあたる精神科の受付番号を渡してくれた。とても有り難かった。
話だけでも聞いてみようと自分の婦人科の件で聞きたいことがあるとお会計待ちに祖母を置いて、精神科の受付に行った。「初診でも受けられますか?病院の別の科での受診はあります。」と聞いたら、紹介状がないと初診料が高いこと・精神科という響きを嫌がる人が多いので本人の同意がなければ受診はとても難しいんじゃないかと言われた。
本人と話をしなければどうにもならないとは私も思っていたが、本人が行くというとは思えなかった。その日は祖母もいたので「考えてみます」とお礼を伝えて、祖母だけタクシーに乗せて自宅に帰し自分は出勤した。

その日、早めに帰宅した父が祖母から「孫だけが先生と話して何か聞いていた」と話していたというのを聞いて動き回っていたのはわかったんだなあと思った。「心配していたから沢山聞いてくれてたんだよ」とフォローしたら「そうね」とご機嫌だったらしい。父に食事制限も泌尿器科で受診する理由も何もないと伝えると「やっぱりね」という反応だった。その日のうちに自宅の最寄駅にあるメンタルクリニックの予約をしたり初診の紙を書いたりした。